007シリーズで有名なダニエル・クレイグ主演の映画「レイヤーケーキ」をご紹介。ダニエル・クレイグ演じる麻薬ディーラの主人公が早期引退を夢見ながらもレイヤーケーキ(断層世界)のしがらみに翻弄される映画。
概要
タイトル:レイヤーケーキ(Layer cake)
公開年:2006年
監督:マシュー・ヴォーン
出演 ダニエル・クレイグ、シエナ・ミラー、トム・ハーディー
あらすじ
麻薬ディーラーの主人公XXX。彼は、早期引退し、安定した生活を送るために厳密なルールを作り、行動していた。
・常に少人数で動き、決して目立つな ・取引は紹介された人物だけ ・正直に商売をすれば客はつく ・敵を知り尊重する ・法律をバカにする奴は本物のバカ ・目立ちたがりのエセギャングは避けろ ・末端のユーザーは避ける ・銃は無し ・平和のためには戦争の準備を ・供給者に金をちゃんと払う事 ・計画に従い好調なうちに引退する。 |
これらのルールを守り、順調にビジネスをこなす主人公。引退日の当日、ボスであるジミーに呼び出され、2つの仕事を頼まれた。
ジミーに信頼されてこその仕事の依頼だったが、この2つの仕事が主人公の人生を翻弄していく。
レビュー
主演がダニエル・クレイグ、ハリーポッターでダンブルドアを演じたマイケル・ガンボンや今をときめく俳優トム・ハーディー等、豪華な面々が出演している割には日本ではあまり知られていない映画。イギリス映画らしくスタイリッシュにテンポ良く進んでいきます。
脚本が凄く練られており、濃厚なストーリーありながら中だるみもなく、最後にはしっかりとどんでん返しも待っており、最後まで観客を飽きさせることはありません。
冒頭の語りで何故麻薬ビジネスをしているのか、規律を守って行動しているという説明が入り、若いながらも切れ者な主人公というのを開始5分でしっかりと演出されており、あという間に映画の中に引き込まれていきます。
・MDMA強奪という肉体労働をし、取引中にどんなに叫んで交渉しても主人公に突っぱねられ、ジミーの相棒に平然と殺されてしまう底辺層のドゥーク。 ・その底辺層を管理し、うまくまとめながらもボスにお金を納める中流階級の主人公。 ・その中流階級を顎で動かし、何か問題があると責任を押し付け売り飛ばす上流階級のジミー。 |
上流階級、中流階級、底辺層というレイヤーケーキ(断層社会)がしっかりと表現されており、どんなに努力してもそこからは抜け出せないというのをしっかりと表しています。 階級社会が根強いイギリスらしいですよね。
ただ、主人公は最後、空いたジミーの席に座らないか?とエディ・テンプルから誘われますがこれを拒否。 主人公はジミーの店を一度利用し、引退をしようとしましたが結局、シドニーに殺されてしまいます。
中流階級から上流階級に上がり、引退という形で格差社会から抜け出すことは結局叶いませんでした。かなりの切れ者である主人公だからこそ、ここまでたどり着けましたが、切れ者である主人公でもこのしがらみから抜け出すことはできませんでした。
また、ビジネス的な説教が多く、How to映画としてもしっかり機能しています。
「高みに来れば過去の辛い事は忘れる。」
「最高のビジネスとは人と人とを繋げる事。」
実際、この2つがビジネスで成功する上では重要ですよね。
また、上でも主人公XXXと書いている通り、主人公の名前は最後まで明かされません。 個人的に、主人公の名前が明かされない映画には当たりが多く、「ファイトクラブ」や「悪の法則」なんかがまさにそう。 2本ともオススメの映画なので是非、ご覧ください。
また、この映画がキッカケで007役にダニエル・クレイグが抜擢されたんだとか。
実際、ワルサーを007の銃の構え方で持つシーンもあり、実は意識していたのかも。
そして、ダニエル・クレイグの衣装が全部かっこいい!スーツからレザージャケット、更にはただのグレーのTシャツですらかっこいい。 衣装は全てジバンシーの衣装なんだそう。 そりゃ、かっこいい。